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福祉用具使用時は、サービス計画書の「留意事項」で注意点の確認を
介護用ベッドや車いす、歩行器などの福祉用具は、介護が必要になって初めて使うことが多いです。それだけに、操作を間違えて焦ったり、極端に言えば、事故になったりする可能性もあります。
そのようなことのないように、福祉用具貸与事業所の福祉用具専門相談員(以下、専門相談員)から渡される「福祉用具サービス計画書」の「留意事項」を読んでください。使用に当たっての注意点が記載されているからです。
今回は、計画書の留意事項について、何故あるのか、どのようなことが書かれているのか、お知らせします。
福祉用具サービス計画書とは
福祉用具サービス計画書とは、介護保険での福祉用具の利用に当たって、専門相談員が利用者一人ひとりの状況を確認し、このような状態なので、このような目標を設定し、その状態に合わせて、数ある製品の中から、こうした理由で選びました(選定と言います)、という目標と選定理由を書いた計画書です。
介護保険で福祉用具をレンタルするときには、必ず作成され、利用者と家族に説明がされた上で、利用がスタートします。専門相談員は、利用者に計画書を渡すことと、介護保険では義務になっています。
介護保険では、利用者の心身や生活状況を確認・整理し、必要な介護サービス等を記載したケアプランを作成し、サービス導入の調整を行うケアマネジャーが、生活全般の専門家であるのに対し、専門相談員は福祉用具利用に関する専門家です。
なお、福祉用具サービス計画書は、利用者の担当ケアマネジャーにも交付されることが義務付けられています。これは、ケアプランを基に福祉用具サービス計画書が立てられるためであり、ケアマネジャーと専門相談員の情報共有が、利用者の生活を支えるには、必要だからです。
留意事項には、使用時の留意点や注意事項が記載される
厚労省は福祉用具サービス計画書に必ず記載する項目として、「福祉用具の利用目標・具体的な福祉用具の機種と当該機種を選定した理由」の他に、「その他関係者間で共有すべき情報(福祉用具を安全に利用するために特に注意が必要な事項、日常の衛生管理に関する留意点等)」 (出典:平成24年度厚労省介護報酬改定に関するQ&A)と定めています。
この留意事項には、使用時の注意点や、見落としがちな事項、専門相談員から見て利用者が使う上で、特にここは気を付けたほうが良いと思える点も記載されます。
例えば、車いすを使う際には、「ブレーキをかけないで立ち上がったり、座ろうとすると、座面が動いて転倒する恐れがあります。必ず確認し、ブレーキのかけ忘れに注意してください」といったような記載です。
事故にはならなくても、ヒヤリとしたハッとしたヒヤリハットの例では、「介護用ベッドのマットレスの上に、これまで使用していたベッドよりも幅広の敷布団を敷き、ベッドの端から滑り落ちそうになる」(出典:福祉用具利用後の状況確認(モニタリング)から見える、製品使用の不具合に関する調査研究 全国福祉用具専門相談員協会)と言ったことも報告されています。導入時に設置し、注意点を説明するだけでなく、専門相談員によっては、留意事項にも、布団を敷くことの滑りやすさ、転倒のリスクを書いておいたりします。設置時に、布団を敷いていなくても、後から敷くことも考えられるからです。転倒という点では、見落とせない事柄です。
ベッド柵の事故も
重症に至る事故もあります。介護ベッドは、リモコンひとつで背部や足の上げ下げができます。リモコンを操作する家族や介護者が、利用者の手足がどこにあるかを確認しないまま、操作することで、柵の間に腕や足が挟まり、骨折する事例も報告されています。
消費者庁は2007年度から2023年度までに介護ベッド柵(手すり)の事故は89件、うち52件が死亡事故であると公表しています。こうした事故を防止するため、厚労省では注意喚起をはじめとする取り組みをしています。消費者庁は注意喚起と共に、JIS規格製品の柵の使用、柵の隙間を塞ぐ、手すりの隙間に頭や腕などが入り込まないようにすることを呼び掛けています。(出典:消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について 消費者庁 2024年2月14日)
初めて使用する利用者にとって、柵の間に腕や足が挟みこむと言われても、ピンとこないかもしれませんが、骨折などの重大事故になる危険があります。隙間の挟み込みは、挟み込みしにくい設計をとったJIS規格の介護用ベッド柵を使用する、JIS規格ではない柵の場合は隙間をカバー等で、覆う、また掛布団をめくって、腕や足が柵に挟まれていないか確認するなどしてください。事故があるから、使わないのではなく、リスクを減らして、安全に使用するためです。留意事項に記載してほしい事柄ですし、利用する側にとっては、言われなければわからないと言えます。
まとめ
介護ベッドや車いすなどの福祉用具は、介護保険でレンタルできます。
専門相談員は安全な利用をするために、使用上の留意点や注意事項を、福祉用具サービス計画書の留意事項に書きます。専門相談員には、わかりやすく、丁寧に書いてほしいですし、利用者・家族には、面倒でも、ときどき読み返してくださるようお願いします。
わからないことや、使用していてヒヤッとしたことがあったら、直ぐに専門相談員に相談してください。
東畠 弘子
国際医療福祉大学大学院 福祉支援工学分野 教授
全国福祉用具専門相談員協会(ふくせん)理事
日本福祉用具供給協会顧問
2011年国際医療福祉大学大学院入職、2016年から現職。2023年度ふくせん老健事業「福祉用具専門相談員指定講習カリキュラムの見直しに向けた調査研究事業」の委員長をはじめ、数々のふくせん老健事業で委員長や委員を務める。 厚生労働省「介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会」の構成員でもある。




