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介護用スロープは介護保険を利用できる!種類・介護保険でのレンタルの流れ・選び方を紹介
車いすの移動をスムーズにするには、段差のないバリアフリーな環境が理想です。しかし、実際に室内外には様々な段差があり、移動の妨げとなることも少なくありません。
また、室内での歩行時には、ふすまとの敷居など、ちょっとした段差があります。
そのような場面では、介護用スロープを設置することで、段差を簡単に解消できます。
介護用スロープには持ち運びができるタイプと、室内の小さな段差に適し、固定型といわれるタイプに分かれ、場所に合わせて長さ等幅広い種類が用意されています。
スロープを選ぶ際には、設置する場所と目的、住環境などを考慮することが大切です。
この記事では、介護用スロープの種類や選び方、介護保険を利用したレンタルと購入について紹介します。
介護用スロープは介護保険でレンタルできる
要介護認定を受けて、要支援1〜2、要介護1〜5のいずれの場合であれば、介護保険による介護用スロープがレンタルできます。
介護保険での福祉用具をレンタルできるサービスを「福祉用具貸与」といいます。
福祉用具貸与は所得に応じて自己負担1~3割利用できます。
なお、福祉用具貸与でレンタルできる介護用スロープは、取り付けに工事を伴うものではありません。工事をするものは、住宅改修といって、介護保険により20万円を上限に利用ができます。
次に介護保険でレンタルできるスロープについて説明します。
関連記事:介護保険とは|仕組み・サービス・利用の流れを解説
関連記事:介護用品にはどういったものがある?介護保険を利用するためには
介護用スロープのタイプ
介護用スロープの基本的な使い方は、昇るときは車いすが前向きの状態で進むようにします。降りるときは車いすを後ろ向きにして進みます。
介護用スロープを安全に使用するためには、基本的な使い方を守る必要があります。ただし、介護用スロープのタイプによって、注意点が異なることも覚えておきましょう。
介護用スロープはおもに以下の3種類に分けられます。
- 一枚板タイプ
- レールタイプ
- 固定用タイプ
一枚板タイプ
一枚板タイプは、幅広さと安定性のバランスが良く、安心して使えるメリットがあります。
一枚板の上を車いすで移動できるため、車いすの幅よりも広いスペースが確保された状態で、車椅子を昇降できます。
ただし、一枚板タイプはサイズが大きくなりますが、折り畳みできるものもあります。
レールタイプ
レールタイプのスロープは、2枚の板をレールのように並べ、車椅子の車輪をそのレールに乗せて移動します。
1枚ずつ設置できるので一枚板タイプよりも、持ち運びしやすいメリットがあります。
ただし、レールに車輪を載せる操作が難しく、慣れるまで少し時間がかかるというデメリットがあります。
介護用スロープの基本的な使い方は、昇るときは車いすが前向きの状態で進むようにします。降りるときは車いすを後ろ向きにして進みます。
介護用スロープを安全に使用するためには、基本的な使い方を守る必要があります。介護保険でのレンタルの場合、貸与事業所の福祉用具専門相談員が、使い方や使用時の注意点を教えてくれます。タイプによって、注意点が異なることも覚えておきましょう。
固定用タイプ
固定用タイプは、敷居等の小さな段差に用いるものです。三角板とか、三角スロープと言われるものです。利用するたびに設置しなくてもよいので手間がかからないというメリットがあります。
ただし、あくまで数センチの小さな段差という限られた環境での利用になります。
介護用スロープの選び方、固定用は介護保険で購入・レンタル両方できる
介護用スロープを検討する際には、①どこで使うのか(室内、屋外、外出先) ②使う場所の環境(段差の高さ、勾配、広さ) ③使用者(本人、介護者・家族)などさまざまな要素があるため、総合的に判断して選ぶようにしましょう。
以下では介護用スロープの選び方について解説します。
レンタル
介護用スロープは、介護保険でレンタルできますが、固定用タイプはレンタルと購入を選ぶことができます。選択制といって、2024年度から介護保険に導入されました。
介護保険を利用して購入できるスロープは、段差解消が目的であり、取り付け工事を伴わないものに限られます。
介護保険を利用したレンタルは、要介護度に応じて1〜3割の自己負担で利用でき、さらにその後の環境変化に合わせて介護用スロープの変更や、他の福祉用具への借り換えができます。
設置場所
スロープを設置する場所に応じて、介護用スロープのタイプを選ぶ必要があります。選択を間違ってしまうと、使い勝手が悪くなり安全性も保てなくなるため注意しましょう。
スロープを選ぶ際のチェックポイントは以下の6つです。
- 自宅で使用するか
- 部屋の中で使用するか
- 外出先で使用するか
- 屋外で使用するか
- 段差の高さはどれくらいか
- スロープの設置予定場所の広さはどれくらいか
自宅の玄関といった場所で介護用スロープを使用する場合は、一枚板タイプが良いでしょう。一枚板タイプは比較的幅広なので、一枚板タイプが使用できるスペースがあるのか確認が必要です。
主に外出先で使用する場合は、一枚板タイプかレールタイプが良いでしょう。持ち運びを考えるときはレールタイプが便利ですが、どこでも使用できるわけではありません。
スロープを選ぶ際は、設置予定場所の広さも確認する必要があります。一枚板タイプは比較的幅広なので、一枚板タイプが使用できるスペースがあるのか確認が必要です。
また、スロープの使用に必要な距離が確保できるかどうかも注意しましょう。
持ち運びの有無
介護用スロープを持ち運びをする場合は、一枚板タイプかレールタイプになります。
一枚板タイプは車椅子をスロープに載せやすい反面、一般的にサイズが大きく、持ち運びしにくいのが難点です。おもに車を使って持ち運ぶ場合に適しています。
レールタイプはレールが2枚になりますが、一枚板タイプよりコンパクトで、比較的持ち運びしやすい傾向です。ただし、一枚板タイプより車いすをスロープに載せにくいため、使用する環境を考慮して選びましょう。
介護用スロープを選ぶ際は設置場所の高さや傾斜も考える必要があります。傾斜が強すぎると車椅子の操作が難しくなり、転倒する危険性が高まります。
固定用タイプは敷居の段差解消等に使われます。小さな段差の解消が目的で、持ち運びして使用することは想定していません。
スロープの素材
介護用スロープを選ぶ際には、素材もいろいろあります。素材の特性によって、耐久性や使い勝手に変化が生じる可能性があります。
一般的な介護用スロープに用いられる素材のメリットとデメリットを以下に紹介します。
| メリット | デメリット | |
|---|---|---|
| アルミ製 | 軽い 丈夫 さびにくい |
素材が柔らかめ |
| FRP (繊維強化プラスチック)製 | 軽い 丈夫 汚れにくい さびない |
高価 修理が難しい |
| 木製 | 軽い 丈夫 結露しにくい 居住空間になじむ |
変形しやすい 変色する 腐る 音を伝導しやすい |
| ゴム製 | 丈夫 安定性が高い |
劣化しやすい 劣化時期が予想しにくい 温度に気を使う |
利用を検討しているスロープの使う場所や期間などによって、選ぶ素材も異なってきます。
たとえば、ゴム製品のスロープを屋外で使用するのであれば、耐用年数を3年とし、劣化することを注意書きしている製品もあります。
選ぶことを「選定」といいますが、福祉用具貸与事業所の福祉用具専門相談員が、使う目的、場所、頻度と、使用する人の身体状況を聞き取って、適切なスロープを提案してくれます。
スロープ以外の選択肢、住宅改修や移動用リフト
玄関の上がり框や、屋外の急勾配には電動で昇降するリフトや車椅子に乗ったまま使う昇降機も選択肢になるでしょう。
また住宅改修は20万円まで、介護保険での利用ができます。段差解消を目的とした改修になります。
移動用リフト
移動用リフトは、ベッドから車いすなどの移乗に使用します。
移動用リフトには、ベッドと一体的に使用するタイプや、床走行式、入浴用など、さまざまなタイプがあります。使用に際しては、操作を福祉用具専門相談員から教えてもらってください。
関連記事:介護の移動用リフトとは|種類や選び方、介護保険レンタルを紹介
昇降機
昇降機には、電動リフトに車椅子を載せるタイプや階段を移動する専用リフトなどの種類があり、なかには屋外で使える昇降機もあります。
階段用昇降機には、電動ではなく介助する方が操作するタイプも存在しています。このタイプの使用時には、操作トレーニングが必要です。
昇降機は、車椅子に乗ったまま移動できるため、介護を受ける方だけでなく、介助する方の身体的負担も軽減できるでしょう。
まとめ
介護用スロープは持ち運びできるタイプと、固定用タイプがあります
車いす使用に使う持ち運びタイプは、素材・設置環境・利用目的など、考慮する点は多岐にわたります。
状況・状態に合った介護用スロープを選択する必要があります。
レンタルできるスロープは種類が豊富ですし、福祉用具専門相談員が専門知識に基づき、提案してくれます。まずは希望や環境を相談してみると良いでしょう。
東畠 弘子
国際医療福祉大学大学院 福祉支援工学分野 教授
全国福祉用具専門相談員協会(ふくせん)理事
日本福祉用具供給協会顧問
2011年国際医療福祉大学大学院入職、2016年から現職。2023年度ふくせん老健事業「福祉用具専門相談員指定講習カリキュラムの見直しに向けた調査研究事業」の委員長をはじめ、数々のふくせん老健事業で委員長や委員を務める。 厚生労働省「介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会」の構成員でもある。
株式会社ヤマシタで取り扱いがあるおすすめ商品
介護保険レンタルで利用できる、おすすめの介護用スロープとその特徴を紹介します。
ケアスロープ
ケアスロープは、一枚板タイプの介護用スロープです。幅が70cmあり、狭い間口でも使用しやすい製品です。
設置が簡単なため、頻回にスロープを使用する方におすすめです。
一般的なケアスロープの長さは200cmです。介助者が車いすを押して走行する場合、約33cmの段差を解消できます。
補修素材が揃っていることやメンテナンスのしやすさ、折りたたみ機能や自立機能の有無・持ち運びやすさなどもメリットになるでしょう。
| サイズ | 幅70×長さ200×高さ6.4cm |
|---|---|
| 重量 | 10.0kg |
| 耐荷重 | 300kg |
| 料金(税込) | 介護保険利用時 負担額:714円/月 レンタル料:7,140円/月 販売価格:149,600円 |
介護用スロープは、設置状況にあわせてさまざまなサイズがあるため、詳しくはヤマシタまでお問い合わせください。
営業所は安心の365日体制。
お客様のご相談、ご要望にスピーディーに対応します。
メールは365日24時間受付
受付時間 9:00~18:00
ケアスロープJ
ケアスロープJは、ケアスロープ2台とジョイント台1台を組み合わせて使う、連結タイプの介護用スロープです。
2つのスロープを用いることで、最大約81cmもの高さの段差を解消できる特徴があります。
一枚板タイプのスロープ1台で高い段差を解消しようとすると、スロープ自体が非常に長くなってしまい、持ち運びが大変です。
しかし、ケアスロープJは3つのパーツに分割できるので、長尺でも持ち運びしやすいメリットがあります。高い段差を解消する必要があり、持ち運びしやすさも重視したい方におすすめです。
| 料金(税込) | 介護保険利用時 負担額:1,604円/月 レンタル料:16,040円/月 販売価格:342,100円 |
|---|
Lスロープ FK
LスロープFKには、特徴が2つあります。1つ目はL字にカーブしていること、2つ目は傾斜のある地面でも対応可能なことです。
直線的なスロープを使うことが難しい環境で、段差を解消したい方におすすめです。
パーツの組み合わせによって、カーブの角度を調整できるため、設置場所に合わせて細かく設定できます。限られたスペースや特殊な環境など、幅広く使用できる点もメリットになるでしょう。
| サイズ | 幅130×長さ310cm |
|---|---|
| 重量 | 32kg |
| 耐荷重 | 250kg |
| 料金(税込) | 介護保険利用時 負担額:1,426円/月 レンタル料:14,260円/月 販売価格:338,800円 |
ESKスライドスロープ3mタイプ/2本組
スライドスロープは、2台分のスロープが1組になっており、伸縮させて使用するレールタイプの介護用スロープです。
玄関先のような特定の場所だけではなく、外出先でもさまざまな段差に対応できます。
1.5〜3mまでスロープの長さを調整できるため、25〜52cmまでの段差を解消できます。伸縮式で取手もあるので、持ち運びに便利な点もメリットになるでしょう。
| サイズ | 幅25×長さ300×高さ5.5cm |
|---|---|
| 重量 | 8.7kg(1本) |
| 耐荷重 | 250kg |
| 料金(税込) | 介護保険利用時 負担額:714円/月 レンタル料:7,140円/月 販売価格:132,000円 |
ダイヤスロープ
ダイヤスロープは、置くだけで簡単に設置できるブロックタイプの介護用スロープです。住宅の小さな段差を解消したい方におすすめです。
すべり止め効果の高いゴムを使用しており、置いた位置からズレにくい特徴を持ちます。
また、設置場所にあわせて加工も可能です。両端がスロープ状になっているため、斜め方向からでも車いすが走行しやすい点もメリットといえます。
| サイズ | 幅76×長さ11.5×高さ3cm |
|---|---|
| 料金(税込) | 介護保険利用時 負担額:52円/月 レンタル料:520円/月 販売価格:5,610円 |












【監修者からのコメント】
スロープは身体状況とともに、住宅環境(使う場所の段差勾配、広さ等の環境)の確認が必要です。 屋外でのスロープ使用時では、ご家族・介護者が雨に濡れて足元が滑った、階段・段差につまづいたなどのヒヤリハットもあります。スロープを下りるときは、利用者の転倒を防ぐため、介助者は車いすを、前向きではなく、後ろ向きにしてください。